【Omodaka Hietsuki bushi】800年前いってみる?

Omodaka / Hietsuki bushi

この曲、はじめて聞いた時にはエレクトロ+民謡というアイディアの奇抜さに関心させられていましたが、この曲を日常的に聞いていると「ひえつき節」という民謡そのものに心をひきつけられていきました。

 

ひえつき節は宮崎県の民謡であり、平家の落人で「椎葉 【しば】」(宮崎県)という村に逃れ、そこでひっそりと暮らす鶴富姫と、平家の落人を追っかけまわす源氏勢力のお侍さん、那須大八との、ロミオとジュリエット的な状況下に置かれた2人のラブストーリーを唄った歌です。

 

◇歌詞の内容

 

一番 庭の山椒の木

   鳴る鈴

   かけて

   ヨーホイ

   鈴の鳴るときゃ

   出ておじゃれよ

 

※庭の山椒の木に鈴をつけて、大八が鶴富姫に密かに会いに来たときは、その鈴を鳴らし、自分がやってきたことを鶴富姫に知らせる。

 

二番 鈴の鳴るときゃ

   何と言うて

   出ましょ

   ヨーホイ

   駒に水くりょと

   言うて

   出ましょよ

 

※鈴の音を聞いた鶴富姫は家のほかの人に外に出る口実として「馬(駒)に水をあげてくる(くりょ)」と言って外へ出る

 

 

三番 那須の大八

   鶴富おいて

   ヨーホイ

   椎葉たつときゃ

   目に涙よ    

 

※大八は鶴富姫を椎葉に残し、鎌倉へ帰らなければならず、目に涙を浮かべる

 

◇詞の感想

このように歌詞は短いのですが、とても味わい深い歌詞であると思います。

 

一番と二番の詞は、人目を忍んで「逢い引き」をするために、打ち合わせをしている二人の描写ですが

 

人目を忍んで会うことしかできない二人であっても、その状況を楽しんでいるように思え、まるでデートのプランを恋人同士でキャッキャ言いながら立てている時のような、わくわく感が伝わってくる気がします。

 

 うってかわって、三番はそんな幸せな時間を共有した鶴富姫との別れのシーンですが

大八が泣きべそをかいている情景が浮かぶんです…

 

民謡って古臭くて理解不能と思いきや、この曲はものすごい身近に登場人物を感じることができて、まるで800年前の人とコンタクトが取れたような気がする一曲です。

 また人間の営みというのは時代が変わっても変わらないものなんだなあと感慨深い気持ちにもさせられるのです。

 

それにしても、よくこんなロマンティックな曲でヒエをついたもんだなあ

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